FC2ブログ
<<07  2019,08/ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  09>>
ナスカ! ~奥田亡羊 第二歌集 『男歌男』雑感~
CIMG0193_convert_20170503210046.jpg ← クリックで拡大

白く乾いた砂礫の道に立ち
青い空を見上げている
迷路のようなその溝を
どこまでも歩いている



***

CIMG0205_convert_20170503210224.jpg 

第二歌集が出たとご連絡をいただき、贈ってくださった歌集の装幀を見た瞬間、

〈ナスカやん!〉

と思った。

何千年もの間、極端に雨の降らない荒寥としたナスカの大地に残されている地上絵。

その場に立っても、溝にしか見えないけれど、高度千メートルほどの空の上からだと、サルやトリ、クモや木などを模した全貌をくっきりと顕す、ペルーの世界遺産だ。

CIMG0193_convert_20170503210046.jpg

〈ナスカみたいだ〉と感じたのは、フリーハンドの一筆書きのような題字の線が、実際に凹んでいたからだと思う。
歌集の表紙に使われている紙も、単色ではなく明るいグレーとゴールドが混じったような色合いで、ゆらぎを感じる淡い濃淡は、航空写真で見たことのある乾いた大地を思わせる。

表紙に刻まれた題字はシルバーの線なのだが、眺めているうちに、文字という枠から解き放たれ、別の意味を持ち始めるような気になる。まるでその記憶を自分が持っているような、デジャブを感じて、くらくらする。

表紙は大地となって拡がり、いつのまにかセスナの上から俯瞰しているような感覚になっている。
しばらくすると、セスナはみるみる下降して、その溝へと吸いよせられていき、気がつけば、地表に降り立っている

そして、白く乾いた砂礫の道に立ち、青い空を見上げている。
迷路のようなその溝を、どこまでも歩いている。
そんな感覚。

表紙を見ているだけで、リチャード・バックの書いた『イリュージョン』というファンタジーを読んだときの気持ちが蘇ってくるのだ。

(このファンキーな文字を書いたのは誰だろう?)

亡羊さんは、もっと上手な字だと思いながら、ページをめくっていくと、「題字・イラスト 奥田亡羊」と印刷されていた。

(ご自分で書きはったんやー)
(わざと、ファンキーに?)
(コンセプトは?)

宛先も差出人もわからない叫びをひとつ預かっている」という歌から始まる、2007年に出版された第一歌集『亡羊』の装幀も、妥協のない想いが伝わってくるものだった。

CIMG8448_convert_20160510231536.jpg

十年を経て刊行される第二歌集となれば、さらに譲れない想いがあるだろう。待ち望んでいるファンの期待も熱いだろう。
スタッフ(もしくはクルー)に、亡羊さんは恵まれていらっしゃるのだと感じる。本はひとりでは出版できない。
ご人徳の賜物だと思う。

歌集を贈ってくださると聞いたとき、「歌を書いてください」とお願いしたら、
「どんな歌がいいのか伺うわけにもいかないし。自分の好きな歌はへんな歌だし。考えてみます(笑) そういえば何となく、きょうクーピーペンシルを買ったのです。虫の知らせかもしれず(笑)」
とメッセージをくださった。

(クーピーペンシル?)

どんな歌が書かれているのだろう。

CIMG0200_convert_20170503210111.jpg

鉛筆書きの文字は、太い線や細い線や、とがったところや丸いところがあって、肉筆感が素晴らしい。最近、鉛筆の文字を見ることは少なくなったので、あたたかいなつかしさを感じる。
なるほど。サイン用に、白のクーピーペンシルを用意されたのだ。

石像となりたる夢に石の首落として千の椿咲かしむ        亡羊

***

歌については、評されるかたがたくさんいらっしゃるので、おそらく誰も書かないと思われる「装幀」について書いている。
ほかにも秘密がないかどうか、ひっくりかえしてみた。

CIMG0206_convert_20170503210138.jpg

帯の下にも絵があったし、違うデザインで題字が描かれていて、思わず拍手。

CIMG0198_convert_20170503210200.jpg

誰も見ないかもしれないところまで、行き届いているので、さらに仕掛があればいいのにと期待してしまう。

亡羊さんは、ご自身がおもしろすぎるのだから、エッセイを書いてくださったらいいのに、と以前から思っている。私が編集者なら、ぜったいに依頼する。

一度しかお会いしたことがないけれど、同行しているあいだ、ネタの宝庫だった。
ご本人は気づいていないのかもしれないが、不思議な人に出逢いすぎるし、抗いがたい何かにどんどん巻き込まれていくし、道にも迷いすぎる。いったいあの日の出来事は、なんだったのだろう。
去年の5月6日のことなので、もうすぐ一年になる。

待ちわびていた第二歌集が、こうして手元にある。
三百十二首あるという。
歌の中で、「俺」「ぼく」「我」「われ」「父」「男歌男」である亡羊さん。

CIMG0205_convert_20170503210224.jpg

短歌の一首は、短編小説に匹敵するほどの物語だという。

浜田えみな

スポンサーサイト
Secret
(非公開コメント受付中)

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
ご連絡はこちらから
鑑定の予約・質問・感想など、お寄せください。

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
プロフィール

浜田 えみな

Author:浜田 えみな
こんにちは! ブログに来てくださってありがとうございます! H11生まれの長男と、H14生まれの長女の二児の母です。文章を書くことが好きなので、フルタイムで仕事をするかたわら、あれこれ書いています。H26年8月に薦められた短歌にハマり、現在その世界観を模索中です。よろしくお願いします。