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境界線の呼び名
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「あたし、こんなんでいいと思う?」

               『ひとり日和』(青山七恵著 河出書房新社)より

ずいぶん前に読んだのだけど、
青山七恵さんの文章が読みたくなって、もう一度読んだ。
もう、残りが八ページくらいの終盤だった。

「あたし、こんなんでいいと思う?」


海に行きたい。山に行きたい。
列車に乗りたい。駅に立ちたい。
空が見たい。雲が見たい。風に吹かれたい。
土にふれたい。沢に降りたい。
木漏れ日をあびたい。走りだしたい。
わがまま言いたい。

泣きたい。泣きたい。号泣したい!


「あたし、こんなんでいいと思う?」

ものがたりの設定に、重なるものは何もない。
主人公のしていることで、かさなることも、何一つない。
前に読んだときに、このセリフを意識したかどうかも、おぼえていない。

でも。
わかった。

わたしは、いつだって、確認したかったのだ。
たぶん、ものごころついたときから。

記憶にあるかぎり、
いつだって、からだじゅうで、そう叫んでいて、
どんなに明るくあたたかい場所にいても、
たくさんの人に囲まれていても、
笑っていても、認められていても、
必要とされていても、愛されていても、
さみしくて、泣きたくて、みたされなくて、
ひとりでぽっかり浮いていて、
ひとりでくっきり離れていて、
その境界線をはっきりと感じながら、
まわりにいる人みんなに、ききたかった。叫んでいた。

全身で! 全霊で!

今までに書いた、どんな文章の一文いちぶん、一文字ひともじにも、
このことばがはりついている… 
そう気づいたら、なんだか、すべてが、腑に落ちた。

だから、書きたい。だから、逃げたい。
だから、くりかえしている。

そびえたつ、こころもとなさも、
ひりつく、さみしさも、
うめても、うめても、みたされない深いすきまも。
あぶなっかしさも。ぎこちなさも。
ぶきようさも。あまのじゃくさも。

いつでも、ぽっかり、
どこでも、くっきり、
わたしは、いたような気がする。
ひとり日和に。

その境界線の呼び名をさがして。


こんなんでも、そんなんでも、あんなんでも、どんなんでも、
いてくれるだけでいいのだと、
ひとに言うことは、できるのだけどな。

さて、困った。気づいてしまった。
だから書いているのか。がっくりだ。



「いまごろ気づいたの?」
 そんな声がきこえる。

やっぱり??
             
                     (ゆ)
     


 






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テーマ : 物書きのひとりごと
ジャンル : 小説・文学

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浜田 えみな

Author:浜田 えみな
こんにちは! ブログに来てくださってありがとうございます! H11生まれの長男と、H14生まれの長女の二児の母です。文章を書くことが好きなので、フルタイムで仕事をするかたわら、あれこれ書いています。H26年8月に薦められた短歌にハマり、現在その世界観を模索中です。よろしくお願いします。