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子どものいる人生・いない人生
 ← コツメはこんな顔(八女市のおみやげ)

子どもがいたら、
子どものいる人生を生きるし、
子どもがいないのなら、
子どものいない人生を生きる。
どちらであっても、生きると思う。

必要とされて生まれてきた理由を、
確かめながら、生きる。


*    *    *

「きのう、冷房なんて、いらなかったっ!」
「え?」

まだ目覚まし時計も鳴っていないのに、コツメがむっくり布団におきあがって、ものすごい顔をしている。
(なんでなんで?? 何が起こったん? めっちゃ機嫌わるそうなんですけど?) 

「きのう、涼しくなる前に、寝ちゃってんやんかっ!」
(? 意味不明)

「涼しくて、ああ、気持ちいーって思うまえに、もう寝ちゃったから、冷房なんて、いらなかったっ!」
(わけわからへんな)

朝から、なんで、こんな不機嫌そうな顔で、モンクを言われなければならないのだろう? おはようのあいさつもなかったで。

「おはよー コツメ。もう起きたん?」
「……(コワイ顔をして無言)」

「でも、冷房つけてへんかったら、暑くて、汗いっぱいかいて、目ぇ覚めちゃったと思うで」
「昨日は、涼しかったし! 窓あけてたら、風がいっぱい吹いてて、涼しかった! 冷房なんて、いらんかってんやんかっ!」
「えーっ そうやったん? ほんなら、お母さんが、冷房つけたときに、そう言うてーや。眠られへんって、ごろごろしてたから、つけてあげたのに」
「すぐ、寝ちゃったの! 涼しくて気持ちいー って思う前に寝ちゃったから、意味なかったんやんかっ!」
(意味って何?)

「冷房きいてたから、途中で目え覚めんと、気持ちよく寝れたんとちゃう? よかったやん。なーなー、てんちゃん、聞いてるー?」
二段ベッドの二階に声をかける。(ホントはリクトの場所だけど、冷気が当たらなくて暑いので嫌がったため、てんちゃんの場所になった) 
「うん(苦笑) おとうさん寝るとき、入ってきたら、涼しくて気持ちよかったで。ありがとう」
「いやや! そんなんやったら、冷房がきいて、涼しくなるまで、起きてたらよかったーっ!!」

顔をゆがめて、心の底から悔しそうに言うのだ。
(やれやれ。もうちょっと寝よう……)と、うつうつしたら 

「おにいちゃん、あっち行ってっ」
(リクトが、ごろごろ転げて、コツメのエリアに、はみだしてきていたため)
「なぐるな」
(なぐる?)

「おにいちゃん、あっち行ってよ。ここは、コツメの場所やろっ」
「久しぶりに帰ってきたと思ったのに、うるさすぎるぞ」
(たしかに、久しぶりに帰ってきたのに、うるさすぎる!)

「おにいちゃんが、あたしのところに来てるんやんかっ!」
「なぐらんでいいやろ。押したらいいやんか」
(なぐるって、ほんまになぐったんかな? げんこつ?)
「おにいちゃんは、重いんやんかっ」
(そら、そうやな)

「謝ったら、どく」
(え! リクト、コツメは謝らへんで)
「ごめん」
(わー コツメが謝った! よっぽど、どいてほしいんやな。オトナやん!)

「“ごめんなさい”って言ったら、どく」
(おいおい、リクト。それはやりすぎ)
「ごめんなさい」
(わー コツメが二度も謝ってる!! ほめたらな……)

「うるさい! おとうさんは、まだ、もうちょっと寝たいねん。コツメも早く起きてんやったら、もう、あっち行って、テレビ観といたらええやろ」
(わー せっかく、コツメが謝ったのに! エラかったのに! てんちゃん、ぜんぜん聞いてへんやん! フォローしとかな)

「!」
(コツメが出ていった音)

*    *    *

このあいだは、全く逆のことで、わたしはコツメに怒られた。そのときも目覚まし時計が鳴る前だった。むっくり起きたコツメが、ものすごい顔をして、

「汗かいたっ!」

(そんなに暑かったかなあ?)
汗かいたなんて、いきなり言われても、もう朝やん。寝かせてーや。

「今日、たかこおばあちゃんのところに泊りに行くから、昨日、おふろで、むーっちゃ、キレイに髪の毛もからだも洗ったのに、暑くて、汗いっぱいかいたっ! 髪の毛もからだも、ベタベタになったっ! せっかくきれいにしたのに、意味ないやんっ!!」

(!)

お泊りに行くので、自分で、きれいに洗ったらしい。へぇぇ…   
おじいちゃんとおばあちゃんへのプレゼントも、せっせと手づくりしていたし、コツメは、そういう、女の子らしい細やかなところがある。いじらしいなあと思う。
せっせとキレイに洗ったのに、汗で濡れて、ひたいや首筋にはりついている、ザンバラな後れ毛は、たしかに、鬼気迫るものがあり、かわいそうだった。

「ごめ-ん! ごめんよー。タオルでふこかー」
「……(コワイ顔をして無言)」

おじょうさまの機嫌は、なかなかなおらない。そんなふくれっつらをすると、ブタマンみたいだ。
(と言うと、収拾がつかなくなるから言わない)

冷房をつけても怒られるし、つけなくても怒られる。
一番いい場所は、子どもに取られる。
親なんて(笑) 

*    *    *

産むか産まないか。

どう思いますか? と訊かれたら、
「どっちでもいいと思います」
って、言います(笑)

たぶん、子どもをもつほとんどの人が、
「どっちでもいいんじゃない?」
と言うと思う。

だって、子どもを授かった瞬間から、ものすごい課金システムを背負わされてしまったような気がするのは気のせいだろうか?

妊娠がわかったとき。超音波でソラマメみたいな画像の中に、赤ちゃんを見つけたとき。だんだん大きくなる写真をもらうとき。初めての胎動。おなかの中のシャックリ。おなかの皮が、もりあがって、波打つのを見たとき。陣痛の中での共同作業。誕生。
初めてのだっこ。初めてのおっぱい。はじめての沐浴。はじめての……

それまで味わったことのない喜びや感動は、なんというか、超メガ級単位で課金され続けていて、気づけば、今や永遠に年期のあけない奉公人!!

子どもがかわいいだけでいいのは、二~三歳ころまでで、それ以降、介するさまざまな世界は、どちらかといえば、めんどうくさくて、うっとうしくて、背を向けたいことばかりだし、得意分野でないことのほうが、圧倒的に多い。
子どもにまつわるハプニングやトラブルや雑事のあれこれ……。
ひとつずつ、こなしてはきたものの、いまごろになって、

(そうか、これは課金の返済なんやな……)

と思いあたって、納得できた。

朝っぱらから、理不尽なことでモンクを言われたりすることも、課金返済の対象なのだ。
ところが。
しょっちゅう、モンクを言われ、ふりまわされ、びっくりさせられて、へろへろだけど、リクトとコツメは、十二歳と九歳になった今でも、日々、感動するようなことをしてくれるから、またまた、課金されてしまう。元金どころか、利息すら減らないのだった。

こんなの、背負いますか?

ホント、妊娠から三歳くらいまでの間にもらった、ありえないほどの宝物のお礼を、今、からだで返している感じです。それを子育てというのなら。

*    *    *

今、これをこうして書いていても、向かいの寝室で、

「サンタさんにもらった手帳に、しょうゆのシミがついた!」

と、てんちゃんに訴えているコツメの声がきこえてくる。ああ、うるさい。
テーブルに大事な手帳をひらいておきっぱなしにしているのが悪いと思うけどなあ。

だいたい、

「夏休みの宿題帳がない! コツメはちゃんと置いてたのに!」

と登校まぎわに大騒ぎになり、探したけど、どうしても見つからず、おばあちゃんの家に電話をしたら、きっちり置き忘れていた。始業式は明後日なのに!
なんで、一週間、だれも気づかないのだ??? 

片道一時間ほどの実家まで、コツメの宿題を取りにいったのは、てんちゃん。
まったく、下僕だ。
さらに、宿題帳を忘れていたことに、一週間、気づかなかったので、「一行日記」ができていなかった。宿題のマルつけは保護者がやるらしいが、それもできていなかった。
(たぶん、毎日、マルつけをして、ほめてやって、モチベーションをあげるのだろう。申し訳ないが、やってない)
てんちゃんが、宿題帳のマルつけをしたのは、始業式の朝の食卓だ。

「漢字テストの答があるのに、算数の答がない!」
「あ、通知表に保護者印、おしてなかった!」

二人そろって、会社に遅刻。

*    *    *

「おかあさん、コツメ、暑いから、レボちゃん、つけていい?」
(れぼちゃん?)
ああ、冷房のことかと思いあたる。
「いいよー」

どうやら、冷房のことでゴネたのは、自分でも筋ちがいだったと、少しは恥ずかしく思っているらしい。
(テレかくしのコトバ使いにするなんて、かわいいやん!)
などと思ったりするから、いかんのだな(笑)

*    *    *

子どもはいたほうがいい。
子どもはいなくてもいい。
子どもはいてもいなくてもいい。

わたしは、一生かかっても返せないくらいの宝物を、リクトとコツメから受けとりながらも、
「いてもいなくてもいい」
と言ってしまうだろう。

子どもがいたら、子どものいる人生を生きるし、
子どもがいないのなら、子どものいない人生を生きる。
どちらであっても、生きると思う。
必要とされて生まれてきた理由を、確かめながら、生きる。

わたしに対して言われた言葉ではないのだけど、あるディスカッションで、ほとんどの人が、

「子どもはいてもいなくてもいい」

という意見を言ったとき、すごく怒りを覚えたと発言した人がいた。

「今、こんなに少子化が進んでいて、子どもを産まないことを選択する人が増えているなかで、子どもを産んだ人が、“いてもいなくてもいい” なんて言ってしまったら、誰も子どもを産もうという気にならない。子どもを産んだ人こそ、“子どもはいたほうがいい!” と言ってほしかった」と。

ホントだなあと思った。
でも、そう言いきるのも、こわいのだ。

子どもがいたら、子どものいる人生を生きるし、
子どもがいないのなら、子どものいない人生を生きる。
どちらであっても、生きる。
必要とされて生まれてきた理由を、確かめながら、生きる。

*    *    *

コツメは、こっぺぱんのにおいがする。
日焼けした肩や、腕や、ほっぺたや、ふくらはぎなんかも。
鼻を近づけて、クンクンすると、干した布団から おひさまの匂いがするように
こんがり焼けた肌から、香ばしいこっぺぱんの匂いがする。
毎日、寝顔を、かぎまわってしまう。
いつまで、こっぺぱんの匂いがするかなと思いながら。

どうしよう。やめられない(笑)

浜田えみな

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テーマ : 物書きのひとりごと
ジャンル : 小説・文学

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浜田 えみな

Author:浜田 えみな
こんにちは! ブログに来てくださってありがとうございます! H11生まれの長男と、H14生まれの長女の二児の母です。文章を書くことが好きなので、フルタイムで仕事をするかたわら、あれこれ書いています。H26年8月に薦められた短歌にハマり、現在その世界観を模索中です。よろしくお願いします。