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天河大辨財天社 抜穂祭 ~敬虔な祈り~
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稲を収穫することは、
へその緒を切ることに似ている、
と思った


***

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黄金の穂をかきわけ、根元をさぐり、茎を束ねてつかんで、鎌を引く。
稲穂を揺らして、根元をかきわけていると、かまきりや、テントウムシや、よくわからない黒い虫や、イモリなんかがとび出してくる。
空にはとんぼが飛び交う。
天河大辨財天社様の御神田は、本当にきめの細かい、まっくろでふかふかの肥えた土壌だ。

稲を収穫することは、へその緒を切ることに似ている、と思った。

土と水から栄養を吸収して育っていた稲が、月満ちて、ずっと繋がっていた大地や根から離される。
いのちの源である母なる田んぼが、稲にとっての胎盤だとしたら、苗の植え付けとは、受精卵の着床。
ひざ下まで埋もれるほどにやわらかく耕され、たっぷりの水が行きわたる栄養たっぷりの御神田は、最高にふかふかの子宮内膜だ。

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太陽の熱でぬるんで、おたまじゃくしが泳ぎ回っている水の中に、苗をまっすぐさしいれると、ふかふかの土の中に、倒れもしないで、すっくりと、立つ。
植え付けるたび、自分が、天と地を結ぶアースになったように、エネルギーが通る。
その不思議な感覚。

次世代を約束する苗を迎え入れた田んぼの歓び。

ひざ下まで埋まる田んぼの中に、ぶれようもないほどにがっつり包み込まれた長靴の下肢と、植えつけのために差し入れた指先を通じて、それは、からだじゅうに伝わってくる。
苗を植えるたびに。

御田植神事の日、その豊潤な土に、長靴の足をがっぷりと掴まれて感じた、地球の中心まで繋がっているようなグラウンディング感は、着床の歓びの共鳴だった。

私の中にも、かつて、感じたことがあるはずの記憶。

以前、女性のからだについて受けた講義で、ホルモンの働きを擬人化して教えていただいたことがある。
たとえば、黄体ホルモンは、

「たいせつなお客様(受精卵)が来るから、お布団をふかふかにして待っているように!」

という十四日間の非常勤雇用の発令を受けて、毎日、部屋(子宮)を快適に整え、ベッドメイキング(受精卵が子宮内膜に着床しやすい状態に)して、その時を待っている。
いつ来るかもわからない「すてきなお客様」に逢う日を夢見て、十四日間、毎日。
お客様(受精卵)が来たら、雇用期間が五か月に伸びる。
来なければ、撤収(生理)だ。

お客さん、来るかな。来るかな。
お客さん、来るかな。来るかな。

ふかふかにしておいてね。
こわくないように、ここちいいように、あんしんなように。
あったかくね。やわらかくね。たいせつにね。

お客さん、来るかな。来るかな。
お客さん、来るかな。来るかな。

いつ来るかわからないからね。
用意しておいてね。ちゃんとね。

黄体さんは、待っている。

お客さん、来るかな。来るかな。
ふかふかなのにな。あんしんなのにな。
さいこうのお布団なのにな。
来てほしいなあ。

……来ない。

来なかった。
撤収……


黄体ホルモンは、どれだけ、待っているのだろう? 
私の場合、12歳で初潮が始まり、初産が34歳だったから、22年間×11回/年=242回(!)

だけどついに、242回を過ぎたある日、お客さんがやってきた。

ふかふかで、やわらかくて、あったかくて、こわくなくて、あんしんで、だいじょうぶな、おふとんに、ポンって、とびこんできた長男。
黄体さんは、どんなにおどろいたことだろう。
どんなに、ほこらしいきもちだっただろう。

さっそく、14日間の短期アルバイトから、5ヶ月間の派遣社員に格上げになった黄体さんは、しっかりした胎盤ができるまで、毎日、毎日、お世話をしてくれた。
どんなに、かわいかったことだろう。
どんなに、いとしかったことだろう。
242回×14日間、まちわびて、まちこがれた、お客さん。

その後、2年近く経って、次のお客さんがやってきた。
2回目だから、黄体さんは、とってもお世話上手だった。
たいせつに、たいせつにしてもらった。

ずっと待ちぼうけが続いていた黄体さんを、たった2回だけれど、歓ばせてあげることができた。
長男が飛びこんできたとき、長女が舞いおりたときの、黄体さんの気持ち。
それを想像して、高揚した。

だから、田んぼの歓びが、わかった。

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収穫した稲穂は、三株分を一つに束ねたものを穂を下にして半分に割るようにして横木に架けて天日干しをする。
このことで、藁に残っている養分が全て米に行き渡り、天日の効果と相乗して、いっそう旨みが増すという。

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その光景は、生まれたばかりの赤ちゃんが、お母さんのおなかの上で、しばらくぬくもりを感じて、じっとしていることに似ていた。

祈らずにはいられない。

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今年は、何があっても抜穂祭に参加すると決めていた。
三年ものあいだ、御神田の御田植をさせていただいたのに、植えっぱなしで一度も収穫したことがなかったからだ。
台風の影響で、ずっと雨が降っていたのに、奇跡的に晴れた9月30日。

稲を収穫することは、へその緒を切ることに似ている、と思った。

とても、とても、敬虔な祈り。

浜田えみな

御田植えのときのブログ記事 → 「おんだ祭」
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浜田 えみな

Author:浜田 えみな
こんにちは! ブログに来てくださってありがとうございます! H11生まれの長男と、H14生まれの長女の二児の母です。文章を書くことが好きなので、フルタイムで仕事をするかたわら、あれこれ書いています。H26年8月に薦められた短歌にハマり、現在その世界観を模索中です。よろしくお願いします。